乗鞍・クマ襲撃事件と報道の良心

連休初日、とっても痛ましい事件が起こりました。熊が人間を襲い、多くのけが人が出たそうです。幸い命まで奪われた人がいなかったのがせめてもの救いです。

1996年、カムチャッカでヒグマに襲われ逝った星野道夫さんを思い浮かべました。写真家であると同時に類い希なるエッセイストでもある彼の紡ぎ出す言葉の数々は、今でも心が洗われる思いします。

そんなことを考えつつ、今朝の朝刊を広げると、一面にこの事件を報じる記事と併せて熊が人にのしかかっている場面の写真が掲載されていました。衝撃の瞬間・・・と言えばそうなのでしょうが、果たしてその写真を掲載して広く伝える必要はあるのでしょうか。
どうやら、現場に居合わせた人から提供された写真のようですが、提供されたからといってそのまま掲載する必要性はないと思います。尤も、何枚か提供されたもののうちから襲われている方がどなたか特定できないようなものを選んだのかもしれません。
しかし、被害者やそのご家族の立場から考えると、ことと次第によっては命までも奪われかねない状況の写真を報道することは、許されるものではありません。ジャーナリストの良心が僕には感じられませんでした。

一方で、たまたまその現場に居合わせ、カメラを向けてしまう人についても、僕にはやりきれなさを感じています。あの秋葉原の無差別殺人事件の時に、カメラを向ける人々の映像を思い出さずにはいられませんでした。デジタル化でカメラを持ち歩く人が増えて、携帯電話にまでカメラがついて、便利になったかもしれないけれども、人々の心は貧しくなりつつあるのではないでしょうか。