「極光」と「白夜の黄昏の光」~さだまさしさんと阿岸充穂さん、そして星野道夫さん

さだまさしさんが故人に捧げるものとして曲作りをしたものの中で写真家を題材にしたのが、「極光」と「白夜の黄昏の光」です。キイワードはアラスカです。
さださんの曲は、「風に立つライオン」に代表されるように、曲を通して自然と情景が目に浮かんでくるものが多いのですが、この2曲もその例にもれず、透明感のあるスケールの大きさを感じられます。

「極光」阿岸充穂さん。
「いきなり私の眼の前に座ったあなた 自分はせっかちだからと言い訳しながら」で始まるこの曲は、何物をも恐れない若さ故の特権を感じます。そして、自分の目指すものを追いかけていった彼の清さを伺わせます。その写真集「大地の詩」は絶版となっており、手に取ることができないのが残念ですが、彼の遺志は奥様の阿岸明子さんによってオーロラ基金という日本語奨学金基金として立派に受け継がれています。そして、星野道夫さんも彼に影響を受けたというのも、とってもわかるような気がします。

「白夜の黄昏の光」星野道夫さん。
さださんは、そのライナーノートでこう記しています。「写真家であり、文学者であり、また哲学者であり、何より冒険家でもあった彼は、悲しむべきことに1996年カムチャッカで殉職した。僕はその後に彼を知ることになるのだが、僕と同じ年生まれだった星野さんの著作に触れる程にその早すぎた死を悼む思いは強くなるばかり。」と。僕自身もさださんのこの歌を通して彼を知り、彼の写真展に何回となく足を運び、エッセイを読み漁り、影響を受けてきました。しかも、彼の写真展の会場に流れるエンヤの神々しくも透徹した歌を知りました。

さださんの歌を通して知ることができたお二人が故人となられているのは残念ですが、その精神は今も多くの人たちに共感を与え続けています。信念を持って自分の道を進んで行くことが難しくなりつつある今の時代に彼らの存在を知ることは、それだけで勇気が湧いてくるような気がします。そして、そのことを知らしめる語りべとしてのさださんに改めて感服です。