日本代表の挑戦はこれからも続く・・・ロシアW杯決勝トーナメント

ベスト8を賭けた日本代表の戦いが終わりました。しかし、残酷なまでの終了を告げるホイッスルは、これからも果てしなく続くであろう挑戦のキックオフのホイッスルでもあります。

開催国としてグループリーグ突破という最低限のミッションを果たして、何気なく臨んだ2002年。雨に煙る仙台でウミト・ダヴァラのヘッド一発に沈みました。直前にディフェンシブに戦うことに舵を切った2006年南アフリカ大会。疲労困憊して辿り着いたPK戦で駒野選手がバーに当ててしまいました。

そして3度目の挑戦となった今大会。日本代表の覚悟がテレビの画面からは十分伝わってきました。すなわち、自分たちのストロングポイントであるアジリティと細かいパスワークで敵陣に迫り、決して臆することなくラインを下げずに、相手の強烈な個の力に対しては集団で守るというハードワークを厭わないことです。

思いのほか、ベルギーが慎重に立ち上がってきたことから、日本代表も敵陣でポゼッションすることが可能で、開始早々、香川選手が左足でシュートを放ちます。相手が遮二無二に出て来なかったこともあって、事前のスカウティングに沿った対応をすることにより、スコアは動かさずにハーフタイムを迎えました。

ベタ引きで、カウンター一発に賭けるという戦術を取らずに、グランダーの細かいパスと時折混ぜる縦の楔で前へ出て行くスタイルは、ポーランド戦で議論を巻き起こした消極的なパス回しのイメージは払拭されたかもしれません。どれだけ長い時間0対0の状況を続けさせることができるか、少なくとも20分まではこのままの状態が続くと、日本代表にも勝機があると思っていました。

しかし、後半早々3分に先制、7分には追加点と誰もが予想しない展開になりました。柴崎選手の糸を引くようなスルーパスから原口選手がサイドネットを揺らした後は、香川選手の落としから乾選手が無回転で叩き込むといういずれもビューティフルゴールでした。

2点差。世界ではほぼ勝負の先が見えたスコアですが、日本では、意外と危ないスコアと言われています。しかし、やはり危ういリードでした。西野監督も守り切るというよりも、選手交代で前に出ざるを得なくなった相手の裏を取って、止めを刺そうという采配でした。追加時間を入れて45分間専守防衛では、おそらくいずれは決壊してしまうであろうということを考えるのは難しくありません。

ならば、できるだけ失点しない時間を長くして、その間に止めを刺せればよかったのですが、
24分。最初の失点は、完全に崩されたわけではない形からでした。

この試合の一つ目の疑問。あの場面、川島選手のポジショニングが正しかったのでしょうか。相手の選手のヘディングは中へ折り返すつもりだったように見えますので、もう1.5m程度中央に寄っていたら、バックステップでジャンプして左手で触れられたようにも思います。

そして29分、交代出場のフェライニ選手に驚異的な打点で叩き込まれ、ついにゲームは振り出しに戻されました。本気になって牙を剥いてくるランキング3位に対して、同点のままゲームは最後の日本のコーナーキックの場面を迎えます。ここまで、相手の高さを意識して、すべてショートコーナーでスタートしていました。

二つ目の疑問。本田選手はショートコーナーを選択して、とりあえず延長で仕切り直しという判断をしなかったのでしょうか。単純に入れるだけでは跳ね返されるのは明らかであると思います。点を取って決着をつけたいのであれば、ショートで細かいパスでボックスへ入り込むべきだったでしょう。

それにしても、ベルギー選手が3人も4人も自陣ゴール前からあの長い距離をスピードを上げて一気に駆け上がる走力には驚かされました。

自分たちの描いていたゴールへの道筋で相手ゴールを2度もこじ開け、それでもひっくり返されてしまうということ。過去2回の挑戦もいずれも僅差での敗退でしたが、今回の敗退とは明らかに違います。日本代表がリードすることによって本気を引き出した強豪と少なくとも後半の時間帯を勝負できたことは、改めて課題を浮き彫りにさせてくれました。

球際の勝負と縦一辺倒だった前任者のサッカーとここまで日本代表が積み上げてきたクイックネスと細かいパスワークを組み合わせれば、世界と勝負できるかもしれないということが分かった大会となったような気がします。そして、それでも圧倒的な高さにはねじ伏せられてしまうことも再認識させられました。

開幕前の予想を裏切る形で、ここまで進んできた選手のみなさんとスタッフに敬意を表しつつ、それでも4試合を戦って勝利を収めたのは10人となったコロンビア1試合のみだったという厳しい現実も忘れてはなりません。