闇に浮かぶ興福寺中金堂

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ほぼ半年ぶりに奈良に来ています。自分自身の今回のテーマは、再建された興福寺中金堂にお参りすることと、正倉院展で御物を鑑賞することでしたが、残念ながら正倉院展はやや期待にそぐわず、それよりも再建された興福寺中金堂の佇まいに圧倒されてしまいました。

目に飛び込んできた中金堂には、どのような美辞麗句を用いても言い尽くせないようないでしょう。それを承知で敢えて言うならば、たったの5文字で「ウツクシイ」でしょうか。

事前に求めて予習してきた、多川俊映貫主が著した「蘇る天平の夢 興福寺中金堂再建まで、25年の歩み」の文章が僕の頭の中をぐるぐる巡ります。それは、天平の姿を再現するための基壇の発掘から始まって、その基壇の礎石に合わせた直径80センチ、長さ10メートルに及ぶ主要な柱を調達するためにカナダやアフリカへ飛んで、カメルーンヒノキとされたアパ材にたどり着くまで、そして高騰しないように慎重に調達したことなど。本当に、ここに至るまでのご苦労に頭が下がるものです。

一方で、堂内の御本尊釈迦如来は、薬王菩薩と薬上菩薩を従えて四囲を南円堂から移って来られた運慶作と言われる四天王に護られていますが、大きなお堂の中では空間があり過ぎて、御本尊も寂しげに思われます。また、お正月三が日のみ公開される厨子の中に納められた吉祥天の由来に興味が湧きますが、東金堂内に所狭しと据えられた十二神将などに守護された薬師如来との違いが際立っているようにも感じられます。

そうは言っても、再建された中金堂には時空を超えた夢があるように感じています。その思いは、この期間限定でライトアップされた幻想的なその姿に更に強くなりました。

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