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zoom RSS 「憲法主義」 南野准教授と内山奈月さん

<<   作成日時 : 2014/08/08 19:56   >>

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「アイドルグループAKB48のメンバーで慶応大1年の内山奈月(なつき)さんは、幼い頃から文章の暗記を特技としている。 」との書き出しで始まる7月27日の天声人語を読むまでは、この本を知りませんでした。早速、アマゾンで取り寄せようとしましたが、一時的に品切れで入荷未定とのこと。逆に地方都市の書店では残っているかもしれないとの思いから近くの書店へ行き、手に入れることができました。

憲法学者である九州大学准教授の南野森さんを講師に、内山さんを生徒とする講義録形式の本書を読み進めるうちに、彼女の知識と思考力、打てば響くような利発さに驚かされます。もちろん、今春慶応大学経済学部に入学したという彼女が特別な存在であるにしても、アイドル、イコール軽いというイメージを持っていた僕のこれまでの認識は、彼女によって打ち砕かれてしまいました。

遠い記憶を辿ると、僕の学部時代の憲法の講義は、解釈論が主だったように思います。それなりに定評のある憲法学者であった当時の教授の授業でしたが、聞き手の僕がいい加減だったのでしょうか、あるいは時間の経過とともに忘れ去ってしまったのでしょうか、それにしても本書ほどその本質に迫るものではなかったように思われます。それだけに、二人の講義録はテンポが良く、平易で、しかも鋭くその本質を突いていて、まさに目から鱗の感があります。

本書の中で、彼女が高校の授業をしっかり聞き、理解していると感じさせる場面が何度か出てきます。たとえば、「国民主権と選挙」について、先生が彼女に「国民の政党支持を正確に反映することだけを追求すると、全国を一つの選挙区にしての比例代表制が最もいいのですが、なぜ、そうしないのでしょうか」と問いかける場面があります。

それに対して彼女は、「小選挙区にすればたくさんの小さな政党がばらばらに議席を取ることがなくなって、政治が安定するからです。」と答えます。そして、先生曰く。「あなた、そんなこと誰に聞いたの?」。彼女が答えて曰く。「授業で学びました。」さらに、先生曰く。「すごくいい先生ですね。その通りです。」と。

彼女の高校の先生もさるものならば、それを聞いて理解して記憶している彼女も素晴らしいと思わずにいられませんでした。ことほど左様に、彼女の受け答えや質問が鋭く、読者をドンドン引き込んでいくようです。

安倍政権によって、解釈改憲という禁じ手を使ってまで集団的自衛権を認めようとする手法が大きな注目を浴びている今、憲法の名宛人は国民ではなく、国家権力であるとして、国家権力を取り締まることが憲法の本質であるという説明は、誰しも理解できるもののように思います。

そして、改めて憲法を読み返す機会を得て、ハッとさせられたのは、その前文の中にありました。「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民が享受する。」と。時の政権は、厳粛な信託に応えているのでしょうか・・。そして、国民は福利を享受しているのでしょうか・・・。

僕にとって、まったくノーマークだった本書。それは、ユーチューブで一部ダイジェスト形式で公開されている講義と相まって、僕のアイドルの固定概念を壊すとともに、憲法の本質を考えるまたとない機会を与えてくれました。

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