星野道夫さんのこと・・寄り添う月と金星

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5月16日20時過ぎ、西の空に浮かんだ三日月のそばに光り輝く星を見つけました。急いでカメラを用意してシャッターを切りました。今月は仕事に追われ続け、ついぞ見上げることのなかった夜空です。三日月の美しさと共にそれに寄り添うような星、その星は金星だそうです。

改めて、この宇宙の神秘を感じつつ、僕たちの住む美しい星、地球を思わずにいられませんでした。そして、シャッターを切りながら、星野道夫さんのことが頭をよぎったのです。
厳寒の極北の大地に生活の拠点を置き、無数の写真と心が洗われるような言葉を残した星野さん。

彼は自然には二つの側面があると言っています。一つは、人間に安らぎを与えてくれる親しみやすい自然であり、もう一つはあきらめと畏怖の念を抱かせる強面の自然であると・・・・・。
そして、初めてオーロラをカメラにおさめたときの様子を次のように表現しています。
「この広大なアラスカ山脈の中で、月とオーロラを眺めている生物は、まちがいなくぼくしかいない。大きな舞台をたったひとりの観客として見ているような気がしてくる。風もなくあまり静かなので、オーロラの舞う音が聞こえてきそうだ。 (中略)
強いオーロラが、アラスカ山脈北東上空に現れた。と、みるみるうちに竜巻状になり、秒単位で形を変えながら全天に広がろうとしている。突然、光の色が青からピンクになった。かと思うと、異常に輝きを増してきた。光の動きはあまりに激しく、気が狂ったかと思われるほどだ。一瞬、まわりの雪面がオーロラの光を受け、昼間のような明るさになった。美しさを通りこして、恐怖感に襲われた。」(「アラスカ 光と風」より)

読む者をその場に連れて行ってくれるような、引き込まれてしまうような感覚になります。彼は殊玉のような言葉を残していますが、こうして写真だけではなく文章による描写からも自然を受け入れる潔さを感じます。
このことは、彼のことを「あなたは風のような物語を駆け抜けるように 白夜の黄昏の光の中に帰っていった」と歌い上げたさだまさしさんにも通じるものがあるでしょう。

月と金星のランデブーを仰ぎ見て、思いが広がった晩でした。